ギリシャ失業率が過去最悪を記録 5月は27.6%に上昇
ギリシャのリセッション(景気後退)はユーロ圏とIMFによる
総額2400億ユーロ(約30兆円)
の救済に関連した歳出削減や増税を背景に5月のギリシャの失業率は過去最悪の水準に上昇し深刻化している。
6年目となったギリシャの景気後退は
ユーロ圏諸国
国際通貨基金(IMF)
ECB
のトロイカから受けた救済の条件である
財政緊縮措置
に伴い、政府機関等における事業が維持できず雇用率が低下したり賃金引下げが起こり、収入が減少した労働者が支出を抑制したことで消費市場が縮小してさらに賃金の低下と失業者の増加がスパイラルに悪化していった影響で深刻化している。
国家統計局が8日電子メールで発表した5月の失業率は季節調整後ベースで
27.6%(4月 27%(改定値))
に上昇した。
なお、ブルームバーグがまとめたエコノミストの予想では26.9%だった。
ギリシャの昨年の国内総生産(GDP)は6.4%減少した。
IMFが先週公表したスタッフ報告によれば、今年は4.2%減、来年はプラス成長になるという甘い見通し。
ギリシャ国民のうち、15-24歳の失業率は64.9%、女性全体の失業率は31.6%だった。
5月の失業率は2004年に月間統計の公表が開始されて以来の最高水準。
ひとこと
ギリシャの地政学的なメリットとデメリットを考える必要がある。ギリシャ経済はイランの原油を仲立ちとした貿易が大きな額を占めてきた。イランから原油を運び、ガソリン等の石油製品に加工し戻すというものだ。
また、日用品等の欧州等からの運搬でも大きな役割を演じていた。
イランの核問題で経済制裁を欧州連合が決定すれば、主軸がイランとの貿易や物流に頼る国家は破綻するより逃れるすべはなくなる。
トルコとの中継地でもギリシャは陸上流通網の要でもあり、戦略的にもNATOの防衛面からも重要なポジションにある。このため、アイスランド等とは異なった支援が行われた。
また、ギリシャは他のバルカン半島の諸国の経済とも結びつきが強く、ギリシャが濃ければ地域的な紛争等が激化する可能性もあった。
軍事戦略的にはギリシャが経済破綻してユーロ通貨から離脱するような事態になればロシアの食指が強く動くことになる。ロシアが経済支援を行い、ギリシャ国内に軍事基地を置く事にもなれば、オスマントルコ帝国がロシア帝国等の戦略等により中東における権益が全て奪われたと同様に欧米が第二次世界大戦以降に作り上げた権益網が寸断されることになる。
ギリシャと並びキプロスでも1月の選出されたアナスタシアディス大統領が島内にあるイギリスの空軍基地を閉鎖するという主張をして当選した経緯がある。
キプロス経済への支援目的が背景だろう。ただ、厳しい条件がつけば、シリアにある軍事基地がアサド大統領の地位の低下で確保できなくなる恐れがあったロシアが軍事基地の移転と引き換えに好条件でキプロスを助ける可能性があった。
スエズ動乱時にイギリスが空挺部隊を本国から空輸する中継基地としてキプロスの空軍基地を使用した。この基地がロシアに渡れば、イギリスは中東地域での活動は大きく制限されることとなる。
トルコにとっても、ロシアに挟み込まれるか周囲を囲まれる瀬戸際にある。
リビアが内戦でカダフィ大佐が引き摺り下ろされたためロシアから西側の友好国に変化しているため、アフリカを狙う動きのロシアにとっては五分五分の状態が続いている。
軍事力のバランスと経済は表裏一体で、国益を高めるために外交・政治があるのは常識だが、日本の政治家の思考が余りにもお粗末であり大衆に迎合しすぎている。マスコミも同様で偏向報道が過ぎるし、思考がまるで子供というよりも餓鬼に等しい。
餓鬼のマスコミに踊らされる餓鬼の政治家の卑しさが続けば日本の国益というものを破壊しかねないことに国民は気づくべきだ。
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