「ペントアップ賃金デフレ仮説」は労働市場のスラックを裏付けず?
ゴールドマン・サックス・グループのチーフエコノミスト
ジャン・ハッチウス氏
は26日付の調査リポートで、米国連邦準備制度理事会(FRB)の
イエレン議長
が先週のジャクソンホールのシンポジウムで講演の際、強調した
賃金伸び悩みの背景
について、それを裏付ける兆候はほとんど見られないと指摘した。
イエレン議長は「ペントアップ(抑圧された)賃金デフレ」仮説について
賃金の伸び悩み
は失業率の低下が示す以上に
労働市場のスラック(たるみ)
が大きいという論理に疑問を投げ掛けるものだと述べていた。
これに対し、ゴールドマン・サックスのエコノミストは労働省が発表する
雇用コスト指数(ECI)
から地域別と業界別のデータを使ってこの論理を検証したと述べており、ハッチウス氏はリセッション時に賃金の伸びが平均を下回った分野は今では平均を上回る伸びを示しているということを明らかにした
サンフランシスコ連銀の研究者がまとめた
ペントアップ賃金デフレ
と題した論文によると、前回のリセッション(景気後退)時に雇用主は
従業員のモラルを維持
するため賃金カットをためらったことから賃金は十分に減少せず、その結果、労働市場の改善に伴い経営陣が従業員を確保する際にも賃金アップを提示する必要がないとみられる。
なお、ハッチウス氏は「ペントアップ賃金デフレ仮説」は、労働市場のスラックについて、継続的な賃金伸び悩みからも示唆されるとする当社の見解を放棄する十分な理由にはならないと指摘した。
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