為替相場の急激な変動は企業体力を奪う劇薬だ。
独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)が昨年12月に9000社余りを対象に円安の影響などについて実施したアンケート調査で国内の中小企業の間では、アベノミクスの影響が薄らいだ11月、カンフル剤のごとく市場に伝わった黒田日銀総裁の発言で一気に120円台に急下降した円相場で、業績がよくなった企業より、悪くなったという企業が多く、大企業に比べて円安が業績によい影響を与えていないことが明らかになった。
12月のアンケート調査では、実施した2割(1800社余り)から回答を得た結果を分析した。
大企業では、円安によって「業績が改善した」と答えた企業の割合は35.5%だったものの、「業績が悪化した」と答えた企業は20.8%で、「改善」が「悪化」を上回った。
中小企業では、「改善した」と答えた企業の割合は17.8%だったのに対し、「悪化した」と答えた企業は34.1%と大きく悪化していることが明らかになった。
特に「悪化した」と答えた中小企業では、製品の輸入が多い繊維や、原材料を主に海外から調達する木材などの業種が目立った。
円安でも輸出が大きく伸びない理由として、大企業は「海外に生産拠点を移したため」と答えた企業が最も多かった。
中小企業では「海外需要が伸びていないため」という答えが最も多く、中小企業は現地経済の低迷の影響もあって輸出が伸びていないことが背景となっている。
ジェトロは円安の定着で企業の輸出拡大に向けた意欲は強まっているので、一段と競争力を高められるような支援をしていきたいとメディアの取材で答えた。
ひとこと
地政学的な部分での問題だ。輸送コストが世界的な景気低迷で物流料が減少し、船舶の運行で余裕が出ている。最近の原油安も燃料等の費用が少なくなっており距離的に遠い地域の製品や原料の競争力が増している。
過去の円高で取引の値下げを要求した輸出企業が、円安になっても取引価格を引き上げないのも問題となっている。
取引の量を確保するといったことを優先し薄利多売的な経営をしていたところが、円安で海外生産にシフトした企業からの受注が増えず経営が難しくなっているところもあるだろう。
何にもまして11月に黒田日銀総裁の発言で1ドル110円付近から数日で120円台まで売り込まれた米ドル高の影響が大きいだろう。
そもそも、短期間にこれだけの米ドルの上昇により生じる衝撃を吸収できるところは少ないだろう。
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