中国は国威発揚のためか5月2日、中国国営の中央テレビの番組「焦点訪談」では中国が保有する空母「遼寧」に再びスポットを当て、遼寧艦から
J-15艦載機
が続けてスキージャンプ甲板を使用して離艦する様子を初公開した。
なお、カタパルトはワイヤー式であるが失速速度を回避するための牽引ワーヤーの品質・量の確保が出来ておらず使用できていない。電子式を模索していると言われている。
航空母艦ヴァリャーグは予算確保が出来なかった旧ソ連海軍がとツウで建造を取り止め、ウクライナ港に放置していた完成の艦体を鉄屑として1998年にウクライナから入手し、10年がかりで航空母艦として完成させた。搭載機数は50機から67機と見られる。
なお、船名の「ヴァリャーグ」は日露戦争当時、ロシアの旅順艦隊に属して、出航し
仁川沖海戦
の際に大日本帝国海軍との交戦で大破し旅順港で自沈した1等巡洋艦と同名のもの。
艦載機である
J-15(殲-15(歼-15 Jia-n-15)
は、中国の空母建造計画のために、瀋陽飛機工業集団および601研究所により開発された艦上戦闘機でNATOコードネームは「フランカー X2」と呼ばれている。
ロシア製のSu-33をベースに用いて国産の兵装とレーダーを装備した。
2001年頃にSu-33の試作型、T-10K-3がウクライナからもたらされ、直後に開始されたJ-15の開発において広汎に参考にされたと推測される。
ロシアの軍事専門家は、世界的な兵器市場におけるどのような重要なコンペティションであっても中国の模倣戦闘機J-15を軽視している。
2010年6月初めにロシア国防省の
イゴール・コロチェンコ大佐
は、「中国の模造品」であるJ-15はロシア製のSu-33艦上戦闘機と同等の性能を達成することができないだろうと述べた。
また私は、中国が相当数のSu-33を購入するためにロシアとの交渉へ戻る可能性を排除しない」と説明した。
最初のJ-15試作機は、2009年8月31日に初飛行を実施。この機体はロシアから供給されたAL-31Fターボファンエンジンを装備していた。
2011年7月、中国製のWS-10の出力増強型である、WS-10Hが、J-15戦闘機のために選定された。
2010年5月6日、J-15はスキージャンプ甲板を模して地上に設置された設備から最初の離陸を成功、2年後の11月23日、中国初の空母「遼寧」で行われた訓練で、J-15が初めて飛行甲板への着艦に成功した。
13年12月には中国メディアは、J-15Sの大量生産が始まったことを明らかにした。
14年11月1日、カタパルト発進用を前提としたと思われるJ-15の改良型のモックアップが確認され、機体とシリンダーを接続するフックが追加されていた。
J-15の機体はT-10Kをベースとしているため機体構成はSu-33とほぼ同じで主翼と水平尾翼を中ほどで上方に折りたたむことができる。
J-15はランディングギアなど主要なチタン合金耐荷重構造を3Dプリント技術により製造し、これにより開発期間を縮める事に成功したといわれている。
金属の変形や強度不足を克服して3Dプリンタによる大型部品を使用した航空機はJ-15が世界初とされ、機体構造の多くの部分に複合材料を使用しSu-33よりも軽量化されていると推測される。
エンジンは、量産できるWS-10Hでは洋上における出力上の信頼性問題もあり、ロシア製のAL-31Fを搭載している。
武装についてはJ-11Bと同様の兵装を搭載できるが発艦がスキージャンプ発進方式を採用しているため空母での運用時はペイロード(最大積載量)は大幅に制限されている。
自信過剰ともいえるものだが、チャイナ・サインポストでは、J-15がおそらくF-22を除き、事実上、各国軍隊で運用されている全ての現用戦闘機と空気力学的な性能は対等か凌駕すると分析した。
またJ-15はF/A-18E/Fと比較して出力重量比で10%優り、翼面荷重で25%低いと主張している。
中国人民解放軍国防大学の胡思遠は、J-15の目下の弱点は、ロシア製のAL-31エンジンが、アメリカ製のF-35のF135ターボファンエンジンよりも出力に劣ることにあると述べたが、中国製のWS-10HはAL-31より出力がより弱い。
また、尹卓少将は、J-15はF/A-18E/F スーパーホーネットのものより優れていると主張し、アビオニクス(電子機器)の性能が第5世代戦闘機の基準を満たしているが一方で、対地、対艦攻撃能力は、F/A-18E/Fにやや劣っていたと述べている。