「アルジェリア人質事件」の犯行グループが内部分裂か?
2013年に日本人10人が犠牲になった
アルジェリア人質事件
の首謀者
モフタール・ベルモフタール司令官
(1972年6月1日-)
は16日までに、自らが率いるイスラム武装勢力「アルムラビトゥン」がスンニ派武装過激派組織「イスラム国(IS)」に忠誠を誓うとした声明を否定する声明を発表した。
モーリタニアの独立系通信社
アルアハバル(Al-Akhbar)
が公表したとして、フランス公共ラジオが伝えたもの。
14日に明らかになったアルムラビトゥンの声明は、同勢力の
サハラウィ幹部
が出したもので、組織の内部分裂が深刻化している可能性があるとみられる。
もともと、イスラム武装勢力「アルムラビトゥン」は
ベルモフタール司令官は声明で、忠誠を誓う声明は合議を経たものではなく
「組織の原則を侵している」
と否定した。
ベルモフタール司令官の経歴としては1991年にジャーヒディーンとしてアフガニスタン内戦に参加。
1992年にアルジェリアに帰国して
「武装イスラム集団」(GIA)
に参加したのち、同集団が1990年代後半に内部分裂して瓦解すると、主要メンバーらとともに
「説教と戦闘の為のサラフィー主義者集団」(GSPC)
の立ち上げに参加した。
その後、組織はアルカーイダとの関係を深め、
「イスラーム・マグリブ諸国のアル=カーイダ機構(AQIM)」
へと移行するなか、指導者の一人として地位を確立していったといわれる。
マグリブ南部からサヘル地域に進出した際、アラビア語を話す有力部族の族長の娘と結婚することで、砂漠での身の安全の確保に成功した。
2003年にはヨーロッパ人観光客32人を誘拐して身代金を確保しなどの犯罪行為を拡大していった。
2007年頃から、AQIMもしくは独自の武装組織を率いて、アルジェリアやマリ共和国、ニジェールなどを中心に身代金目的の外国人誘拐、南アメリカから欧州へ流入するコカインの中継や武器の取引などを活発化させ
「密輸男爵」
との異名を持つまでに規模を拡大した。
有力部族長の娘ら4人を妻にし、少なくとも2人の妻はサハラ砂漠の遊牧民トゥアレグ族出身だと言われている。
こうした地元の遊牧民と強い結びつきでサハラ砂漠内に秘密拠点をいくつも持ち身を隠すことに成功した。
ただ、2012年10月、地域の長である
「サハル(サハラ砂漠の南縁地域)の首長」
という称号が別メンバーに与えられ、出世が見送られ、同年12月、組織内の対立からAQIMを離脱し
「イスラム聖戦士血盟団」(構成員300人程度)
を結成した。
翌年1月16日に、新組織の誇示し利益を確保するため、アルジェリアのイナメナス郊外に位置する天然ガス施設を30人程度の戦闘員で攻撃した。
ひとこと
国家との対立関係にある武装組織は勝てば官軍だが、勝つまでの行為は犯罪者同前だ。社会を混乱に陥れ、秩序を破壊して国民の支持を失わせるのが目的としてあるためだろう。
ただ、政権を奪い取った後には、こうした不法な行為に手を染めた者は大部分が粛清されて消されるのが歴史ではみられる普通の調整だろう。
ロシア革命直後、レーニンの命を受けた
フェリックス・ジェルジンスキー
が「反革命・テロ・サボタージュ取り締まりのための全ロシア非常委員会」(「チェーカー」)を創立、その後、国家政治局(GPU)や、統合国家政治局(OGPU)、スターリンの最側近ラヴレンチー・ベリヤが指揮する内務人民委員部(NKVD)などと名称が変わるが、全て、体制維持のために過去の汚点となる者を抹殺してきた。
中国の歴史でも混乱時の収束に貢献し国家を作り上げた功臣ほど、国が安定した時点では邪魔な存在となり、大部分の者が無実の罪で処刑されている。また、幼帝が跡継ぎの場合にも邪魔になる一族は全て根絶やしにするなどの行為が見られるところだ。
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