GDP(国内総生産)と農村部・都市部の世帯平均所得を2010年比で倍増させるとの目標
中国は第13次五カ年計画(2016~20年)で、GDP(国内総生産)と農村部・都市部の世帯平均所得を2010年比で倍増させるとの目標を掲げた。
元世界銀行副総裁・チーフエコノミスト、北京大学国家発展研究院名誉院長
林毅夫氏
によれば、この目標の達成には、中国は向こう5年にわたり年平均で少なくとも経済成長率が6.5%を維持しなければならないこととなることを明らかにした。
この数字は1979年以降で年平均9.7%にも達したGDP成長率と比較すれば低い。
ただ、国際的な基準でみれば依然として高成長の範疇にあたる。
ただ、2010年初以来、四半期ベースで中国のGPD成長率は鈍化が続いた。
このため、目標の達成を疑問視するアナリストも多い。
1人当たりGDPとは一国の平均労働生産力を反映し、技術と工業の発展度合いを表している。
ただ、1人当たりGDPを任意に設定された基準値と比較しては中国の潜在的な成長力を適切に測れないという。
一国の経済を平均しても経済格差が大きな中国には膨大な数の貧民が農村部を中心に存在し、不公平な経済のあおりを受け、毎年1万人規模の暴動が1万件も発生しているといわれている。
数値での比較では沿海部分の経済発展地域と内陸部の農村や山間僻地などの中国人の生活水準は雲泥の差がある。
米国でも貧民としては有色人よりも白人の割合が高い多数の地方が存在しているといわれている。
自治という名目から、米国でも治外法権的な部分も多い地方もあるものの国民の経済格差の大きさは中国の水準には遠く及ばない。
一般的に比較する適切な指標では、中国の1人当たりGDPと世界1位の経済大国である米国との比較値となる。
この比較では中国には充分な成長余地がまだまだある。
経済発展途上で、のりしろが広いのが中国経済であり、外部環境が改善されなくても、中国にとって6.5%以上のGDP年平均成長率を達成するのは可能ともいわれる。
生活水準が一定の水準まで上昇して、均質化するまでの余裕があるといった考え方もある。
中国は生活水準が平均すれば、まだまだ低い。
このため、先進国レベルまで生活水準を高めるためには引き続き主な成長エンジンとして世界経済をけん引する潜在的な需要が国内にある。
そのため、少なくとも2020年までは世界の経済成長への寄与度が30%に達するとの見方もある
最近の中国経済成長の鈍化は外部要因 と周期的な要因による影響が強く出た戸いわれる。
中国はリーマンショックが派生した金融危機、欧州経済の停滞による輸出需要の急激な縮小の影響を受けたためであり、中国経済の成長が限界値に達したわけではないと見方もある。
なお、1979~2013年の輸出成長率は年平均で16.8%だった。
欧州経済の停滞や不動産等の加熱などに伴いインフレ抑制の必要があったことなら金利政策を高めに誘導した結果、2014年は6.1%に低下した。
また、2015年にはマイナス1.8%まで落ち込んだ。
中国にとって目標達成のカギを握るのは内需振興策の成果であり、投資と消費という流れを大きな歪を発生させることもなく作りだせるかどうかだ。
多くの発展途上国と異なり、中国は潤沢ともいえる財政力、世帯貯蓄、外貨準備を持る。
華僑をはじめ、温州商人など商売の能力を生まれながらに持つともいわれる中国人が投資に積極的に活用できる多額の資金を持っている。
こうした投資が拡大していけば雇用、世帯所得、消費の拡大を促すこととなるだろう。
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