トランプ米次期大統領は大統領選挙の開票後、台湾の
蔡英文総統
と電話会談したことを明らかにした。
蔡総統と電話会談した2日後、自身のツイッターに
中国は自国通貨を切り下げること
中国向けの米製品に重税を課すこと
南シナ海のど真ん中に巨大軍事施設を建設すること
に関して「われわれに了承を求めただろうか? そうは思わない」と書き込んだ。
これが周辺国への軍事的圧力を強める中国政府の神経を逆なでした。
その後も、通貨、関税と中国が軍事拠点化を進める南シナ海について中国への「口撃」を強め続けている。
なお、中国政府の広告収入が拡大している米国メディアは、トランプ氏の発言が中国の反発を招く可能性を報じると、「米国は台湾に何十億ドルもの兵器を売ってるのに、おめでとうの電話を受けちゃいけないって、興味深いな」ともツイートした。
これに対し、中国側は貿易面でのデメリットを考慮し、静観する構えを続けている。
中国について、トランプ氏は選挙戦中、輸出を有利にするため、米ドルに対して人民元安に操作しているとして「最も強大な為替操作国」などと批判した。
なお、大統領就任の初日に中国を「為替操作国」に認定すると公約している。
蔡総統との電話会談について、台湾を自国の一部とみなす中国の
王毅外相
は台湾を「小細工した」と非難した。
一方では、米政府が長年堅持してきた
一つの中国
政策を変えることはできないと述べるにとどめた。
中国外交部の
陸慷報道局長
は5日、定例記者会見で、トランプ氏による中国への批判的な発言について「トランプ氏と陣営による一切の措置の背景に関しては、臆測しない」と述べ、反論しなかった。
来年1月の新政権の発足を前に対立激化を避け、同氏の出方を慎重に見極める方針とみられる。
さらに、台湾問題は中米関係で最も重要で敏感な問題だと強調した。
そもそも「一つの中国」原則が協力への政治的前提だと訴え、「トランプ陣営を含む米国は、この問題に対する
中国の厳しい立場
を理解していると希望的観測を伝え一定の配慮も示した。
蔡総統との電話会談が対米関係に影響しないよう
「過小評価」
する思惑ものぞくが、会談やトランプ氏の相次ぐツイートには今後の米中間関係をにらんだ計算が働いている。
トランプ氏は蔡総統との電話会談に先立ち、中国の
習近平国家主席
とも電話で協議していた。
ひとこと
「一つの中国」原則は所詮原則でしかないという見方もある。
漢民族が大多数を占めると主張するが、漢民族の定義も曖昧だ。
遊牧民の侵攻を繰り返し受け、漢民族の国家も何度も滅び、異民族に支配し続けられたのも事実だ。
大漢民族という考え方からいえば、9割は中原にいた漢民族とは言えない人々だろう。
現在の中国が主張する広義の漢民族であれば、日本人も漢民族に含まれてしまうことになる。
太平洋戦争における中国戦線は広義の漢民族の考え方からいえば内戦のひとつともなり、侵略ということは言えなくなるだろう。