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2017年6月13日 (火)

真似するばかりが能ではない

 
 
 

 北朝鮮の金正日氏は、同国が失政により大飢饉
   「苦難の行軍」
の真っ只中にあった1990年代後半、農業研究者をスイスとドイツに派遣して2年間、ジャガイモ栽培技術を習得させた。
 帰国した技術者は「ヨーロッパ式ジャガイモ農法」を1999年に北部山間地域の
   両江道(リャンガンド)
の協同農場に導入させた。

 現地では「ジャガイモ革命」とも呼ばれるジャガイモの増産には成功したが、ヨーロッパ式は地域の事情に合っていないのか、今やほとんど活用されていないという。

 従来の農法では種イモの芽が出た部分を切り取って植えるというものだった。
 ヨーロッパ式は豊山(プンサン)郡の原種農場、雲興(ウヌン)郡、三水(サムス)郡の採種農場で生産した
   無菌ジャガイモ
を、そのまま種イモとして畑に植えるというものだが、このような農法は北朝鮮の実情に合っていなかったようだ。

 飢饉などの食料不足の中、種イモの量が問題とされ、畑1ヘクタールあたりに必要な種イモは従来の農法0.8トンだけだったが、ヨーロッパ式では2.5トンで、4倍以上が必要となった。

 また、電力事情の悪い北朝鮮では
   適切な温度管理
のもとで無菌ジャガイモを保存するのも大変手間がかかる。

 金正日氏が主導し農法に表立って異議を唱えれば
   政治犯扱い
されかねないため、農場員たちは、協同農場ではヨーロッパ式で、個人耕作地では伝統農法でジャガイモ栽培を行った。

 その後、金正恩時代に入り、協同農場の土地を農場員個人に委託した。
 インセンティブを与える
   圃田担当制
を実施したことから農場員たちは、国から受け取る種イモ2.5トンのうち、0.8トンしか使わなくなったという。つまり伝統農法への完全回帰となった。

  

ひとこと

 現実を理解せず、理にかなった技術ではないものを強制したということでしかない。

 経済の仕組みなども同じで、日本に欧米の労働時間制度や賃金体系が適当かどうかだ。
 体格や体質が異なるが、サマータイム制度などを導入するのも如何なものか。
 欧米式を信奉するのもほどほどにすべきだろう。

 メンタル面の増加も欧米に患者が多くみられるのも、こうした社会の仕組みが要因のひとつであり、当然仕組みを真似すれば日本でも多くなるのは当然だろう。

 労働生産性の比較でも、単に時間単位の生産性をトヤカク言うが、基本を考えれば労働生産性は付加価値が作りだしているかどうかだ。
 サービスを無料と考える日本とサービスを付加価値として価格に上乗せする欧米との違いもあり、付加価値の率が低いのが労働生産性の低さでしかない。

 モノづくりでも付加価値を高くすれば企業も労働者も余裕が出来てくるだろう。
 付加価値の率を高くせずに量を多くする思考では労働が過密になり、景気の変動を受けやすくなるため極めて危険な経営手法でしかない。

 こうした方向に政策を進める現状では日本企業の体力を奪い国民の健康を害するだけにしかならない愚策のひとつだ。

 働き方改革を唱えるのであれば、企業の生み出す力を高めるために付加価値のある製品やサービスを求める方向に向けるべきだろう。
 乾いた雑巾をさらに絞るような思考しかない経営者では文化など育たない殺伐とした社会が作られるだけだろう。

 薄利多売も視点を変えれば文化の匂いは薄いものになっている。
 製品の価値を高めるデザインや品質などを追求して嗜好性の高いものにすべきだろう。
 社会を疲弊させるような方向に向かいつつある現状は問題であり、政治の質が問われる。

 ただ、野党政治家の質はそれ以上に悪く、中国や韓国、ロシアなどの権益を広める役割をしているに過ぎない輩が多いのが気になるところだ。

 
   

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