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2017年6月11日 (日)

法人関係情報とインサイダー

 

 野村ホールディングスが国内営業支店での
   法人関係情報
の取り扱いをめぐり
   金融商品取引法
に違反したとして、近く金融庁に届け出ることがメディアによる複数の関係者への取材で明らかになった。

 

 匿名を条件に述べた関係者によれば、野村証券宮崎支店の前支店長が昨年同社が上場主幹事を務めたコインランドリー運営会社
   WASHハウス
が、株式分割の検討に入るとの法人関係情報を1月下旬に取得した。

 WASHハウスは2001年に設立、布団や毛布などが丸洗いできるコインランドリーの企画、運営、管理を行っている。

 3月末現在、社員数は103人、九州を中心に東京、大阪など410店舗ある。

 ダニやアレルギー対策として、布団やじゅうたんなどの大物を洗うことが可能で、ウェブカメラで24時間管理し、リアルタイムでサポートを提供している。

 株式分割を検討していたWASHハウスは3月10日、普通株式1株につき2株の割合で分割すると正式に発表した。

 同社は昨年11月22日に東証マザーズに上場、その後株価は上昇を続け、時価総額は6月9日現在約330億円となっている。

 

 宮崎県の企業が株式上場を果たすのは、コスモス薬品以来12年ぶりのことで野村が宮崎県の企業の上場主幹事を務めるのは1990年以来初めて。
 WASHハウスの上場は同支店にとって重要案件の一つだったという。

 WASHハウスの児玉康孝社長は、2月14日に開催された決算説明会で、具体的な株式分割の計画については触れずに、「機関投資家がどういう要望を持っているか、ある程度理解している」と述べ、「流動性の問題など、いろんなことをしっかり社内で検討しながら対応していく」と語った。

 前支店長は翌15日の営業部員との朝のミーティングで、前日の説明会での社長の発言を紹介した。
 このなかで株式分割の可能性について言及したとみられる。

 当然、こうした発言への対応として営業活動をする社員は一般論として株式分割が期待できるとの思惑から、投資家に
   買い付けの勧誘
を3月の株式分割の正式発表まで継続して行っていたようだ。

 なお、同支店長は1月下旬にWASHハウスの幹部から同社が株式分割の検討に入ることを伝えられていた。
 WASHハウスの株価は14日に8.2%、15日は8.5%上昇した。

 法人関係情報とは「公表されていない重要な情報であって顧客の投資判断に影響を及ぼすと認められるもの」を指す。

 野村の社内規定では、企業の内部情報を知り得る立場にある支店長は、上場企業の投資家の行動に影響を与える可能性のある情報について支店内においても一切言及できないことになっている。

 なお、営業マンの投資家への勧誘行為は株式分割の可能性があるという
   一般論に基づいた行為
で、法人関係情報を用いて勧誘した事実はなかったという。

 

 金融商品取引法40条では、証券会社は取り扱う法人関係情報に関する管理や顧客の有価証券の売買等に関する管理について
   不公正な取引
を防ぐために必要かつ適切な措置を講じるよう求めている。

 業務上知り得た法人関係情報が
   インサイダー取引
に利用されることのないよう、情報隔壁の再確認、情報管理の徹底が必要とされている。

 

 なお、野村の対応としては4月、宮崎支店のモニタリング調査の結果、社内規則違反の可能性があることが判明した。
 その後当時の支店長と営業社員らへの聞き取りや
   顧客との会話録音
を調べるなど内部調査を実施した。

 野村はこの時点で金融庁に法令違反の可能性があることを報告している。
 同支店長は5月8日付で総務部に異動になったという流れになった。

 今回の内部調査では、同支店長が他人に利益を得させ、または損失を回避させるためにインサイダー情報を伝達したり売買推奨をした行為は認められなかったとの判断がある。

 個人としては金融商品取引法には違反しなかったものの、社内規定には抵触したとみられている。

 ただ、証券会社としては法人関係情報の管理が不適切と判断される。
 このため、不適切行為を未然に防ぐ体制ができていなかったため法令に違反したとの結論に達したようだ。

 金商法を実施するための内閣府令123条において、不公正な取引の防止を図るための適切な措置が定められている。

  

 証券取引等監視委員会は調査に着手しておらず、今後、組織的な関与や業界全体への影響の可能性の有無により判断していく見られる。

  

 日本では12年以降、野村証券など証券会社が関与した
   公募増資インサイダー取引
が相次いで摘発され、深刻な不祥事へと発展した経緯がある。

 投資市場における日本市場の公正さに対する信認を揺るがした。
 なお、当時の最高経営責任者(CEO)と最高執行責任者(COO)は辞任し、金融庁から行政処分を受けた。

  野村はその後改善策を講じ、「健全な市場の発展に貢献するという社会的使命を全うすべく、十分な態勢を構築し、強化していく」としていた。

   
    

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