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2018年6月27日 (水)

より大きなリスク

 
 世界が注目した米朝首脳会談から半月が経過した。
 北朝鮮は体制維持のため金正恩は朝貢すべく習近平を訪問して媚びる動きを示した。
 
 この訪問は相互訪問が通例であるが、外交儀礼では異質ともいえる一方的なもので今年3度目のもの。
 
 北朝鮮は本当に非核化に向かっているのかという点では疑問符がある状況で、功を焦ったトランプ政権の失政ともいえるものになりかねない。

 シンガポールで6月12日に初の米朝首脳会談が開催され、共同声明が出された。
 
 この声明の最重要ポイントは、トランプ大統領が北朝鮮に
   安全の保証
を与えることを約束し、金委員長は
   朝鮮半島の完全非核化
への確固で揺るぎのない約束を再確認したというものだ。

 この米朝首脳会談、常識的にみれば単なる言葉遊びの類でしかなく、会談前と何ら変化が起きておらず世界でも「大失敗だ」という意見が大半を占めている。
 
 共同声明文にCVID(=Complete, Verifiable, and Irreversible Denuclearization、完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄)の文字が欠落しており、計算高い金正恩の思惑通りの展開となってしまったということだ。
 
 「完全な非核化」という表現だけでは、時期が特定できておらず、先に話し合いの場を設ける点など北朝鮮がいつ出も席を蹴って元に戻ることが出きるため不十分であり、金正恩の思うとおりのシナリオになった。

 米国は、トランプ政権以前の対応とは180度異なり、北朝鮮が「非核化の約束だけをして制裁を解除させ、経済支援を受け、体制も保証させ、しかし核兵器は保有し続けるという状況を黙認したに過ぎないため、核兵器開発の資金を増やしかねない環境を作り出しつつある。

 いま大事なのは、「北が非核化を実行するまで、金が欲しいものを与えない」ことだけだ。

 トランプは、金正恩が体制維持に必要な「制裁解除」「経済支援」については約束しなかったが「体制保証」を約束を「非核化」とセットでしたことで、中国の経済支援が再開する道を作りだし、中国の軍事的思惑の片棒を担いだようにも見える。
 
 金が非核化しなければ、体制保証もないが経済支援とのセットでは途中での離脱で利益を得るのは北朝鮮だけだろう。

 表面的には北朝鮮は今回の米朝首脳会談で今のところは何も得ていない。
 
 だが、中国の介入が広がり、ロシアとの経済関係も強化されていく可能性があり、反と宇に置ける権益網の獲得に動く各国の思惑が錯綜して何が出てくるかわからない状況だ。
 
 そもそも、体制維持のために国内を締め付けて北朝鮮が裕福になれば、国民が金正恩一族への反感を再び表面化させることも予想される。 
 
 中国の習近平が権力を持つまで何度も暗殺され掛かっているのと同じで、金正恩に対する報復の芽は経済の発展で多く生まれてくるだろう。 
 
 経済の自由化は諸刃になるため、北朝鮮を自由主義陣営に引き込み中国との関係をコントロール出来るようになった時しか、トランプ大統領が成功したとはいえない。
 それまではより大きくリスクが蓄積して行くだけだろう。
 
 
   

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